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時計の休日 (完結作品)

作: にゃべ♪

ここは時の国タイムランド。
人々は時間をとても大切にして、日々一生懸命働いていました。
ただ、余りに時間に厳しかったので人々の間にはストレスも
結構溜まっていたのでした。

何か時間に対するトラブルがあるたびに、それを時計のせいにして
罪のない時計に八つ当たりする人も多かったのです。

度重なる言われのない暴力に時計達もほとほと困っていました。

大体、まず正確に動いてないと怒られるし正確でも御主人様の
役に立たないと結局同じ。

約束に遅れたのは御主人様の不用心のせいなのになぜかちゃんと
動いている時計のせいにされて壊されたり、捨てられたりする時計も
後をたちませんでした。

そんな状態をずっと耐えていた時計達でしたが、ある日、時計の
デジタル君は立ち上がりました!

「このままだといけない!時計が人間達の横暴に耐えるだけだなんて
理不尽だ!」

デジタル君は熱い闘志を燃え上がらせ、時計界の長老である
柱時計爺さんに相談しに行きました。

「そうじゃのう、昔はこんな事件もなかったのじゃが、時代が進むに
連れてどんどん人間達は無駄を省こうとキチキチの生活をする様に
なって、きっとそれが原因なのじゃろう」

柱時計爺さんはさすが100年生きているだけあって知識が豊富です。

デジタル君は毎日の様に長老の元にこれからどうしたらいいか
相談しに行きました。
その内、いつの間にか同じ不満を持つ時計達が集まって長老の家は
集会が開かれる様になっていました。

「どうだろう?人間の都合のいい時間で針を止めてみるってのは?」
「それじゃあ、正確な時間を刻む時計として不良品として捨てられる
のが落ちだよ」

「ピカピカ光って存在をアピールするってのは?」
「それは一部の時計しか使えないよ」

意見は中々まとまりません。
ただ、個々の意見にはいいものが沢山ありました。
ある程度意見が出揃ったところで柱時計の爺さんは最終案を言いました。

「みんな、色々言ってくれてありがとう。この事でみんながどれほど
苦しんでいるかが解ったよ。そこでな、わしゃ、思うんじゃが…」

時計達は息を飲みました。
そして、この後長老が話す奇想天外な案に時計達はみんな驚きました。

「わしらの有り難みを知らせる為にみんなで一斉に休むんじゃ。
人間達が自分の愚かさに気が付くまでのう」

休む…働くのが当たり前だった時計達はこの言葉に衝撃を受けました。

「それはいい考えだ!みんなで休めば人間達、きっと困って
謝ってくれるに違いない!」
「でも、時間は進んでいるのに僕達が止まったままだなんて
耐えられないよ!」

いくら長老の案だと言っても革新的な案だった為、やはりそこには
賛成・反対の意見に別れてしまいました。
でも、このまま話し合うだけでは事態は変わらないままです。

「取り敢えずやってみようよ!それでマズかったらまたその時
考えればいいさ!」

デジタル君はそう言ってみんなを納得させました。
他の時計達も今までのままではいけないと考えていたので
デジタル君の意見に賛成する事にしました。

次の日、いよいよプロジェクトは実行されました。
各種時計全部が一斉に時を刻むのを止めてしまったのです。

人間達は焦りました。
何せ全て止まったのですから動かないのを捨てて新しいのを
買っても意味がないのです。
その新品も止まったままなのですから。
おまけにいくら修理してもピクリとも動きません。

タイムランドの時計はただの置き物になってしまいました。

そこで人間達は渋々思い思いに生活する事になりました。
最初は色々トラブルがあったものの、それなりに生活
出来る様になりました。

自然と共に生活する日々の中で、人々は時間に追われて
ゆとりがなくなった事に気が付き始めました。
そして、次第に昔の余裕のある生活が出来る様になってきたのです。

しかしそれでも一人一人の時間がバラバラだと何かと不都合です。
待ち合わせも出来ませんし、仕事をする時にうまく話が
進められない事もありました。

そんな日々がいくらか続いて人々は時計の大切さに気が付いたのです。
そして今まで時計をどんなに勝手に扱っていたのかも。

柱時計の爺さんは人々が気付き始めたのを見計らって全時計達に
また動くように伝えました。

そして、タイムランドに時が帰ってきました。
もう人々は時計を粗末に扱う事はありません。

でも人々は時間に縛られないのんびりした自由な体験も
忘れられませんでした。

そこで、一週間に一日だけ時計のお休みの日を作る事にしました。
その日だけは一日中のんびりと過ごすのです。
お蔭で人々のストレスもすっかり取れてタイムランドに人々の
笑顔が戻って来ました。

人間も時計もうまく行ったのです。
デジタル君はさすが長老だなぁと、長老を今までより、より
一層尊敬するのでした。

でもね、最初にデジタル君がこのままではいけないって
立ち上がったから全ては始まったんだよ。



(おしまい)


※あとがき
唯一テーマを決めて書いたお話です。結構気に入ってますv
これ以外のお話は全部行き当たりばったりだったり(汗)。
みんな、時間は有意義に使おうね☆

※この小説(ノベル)"時計の休日"の著作権はにゃべ♪さんに属します。

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