小説(ノベル)
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星の涙 (完結作品)
作: にゃべ♪
- カテゴリ:児童文学
- 投稿日:'14年9月8日 11:40
- ページ数:0ページ
- 表示回数:750回
- 総合評価:0
- この小説(ノベル)へのコメント:0件
健太君は街外れにある「とっておき」の場所に来ていました。
ここで見る夜空は街でも一番よく見えるのです。
いつもその宝石の様な夜空をずっと見るのが健太君の日課になっていました。
話は今日の昼に戻ります。
その日、健太君は愛犬ポンタがいなくなっている事に気が付きました。
ポンタは健太君が2歳の時に健太君のお家にやって来ました。
捨てられていたのを健太君のお父さんが拾って来たのです。
健太君の人生と共に歩んで来たポンタは決して血統書付きの優秀な犬と言う
訳ではなかったけれど、人なつっこくとても優しい犬でした。
そのポンタがいなくなったのです。
健太君は必死になって探しました。
健太君の家族全員が探しました。
お父さんは張り紙を作って張りました。
お母さんは近所の人に聞いてまわりました。
健太君はポンタが行きそうな所を探しまわりました。
健太君はポンタとよく散歩したあらゆるルートをしらみ潰しに探しましたが、
健太君の呼び声はポンタには届かず、悲しい声が空に響くだけでした。
そして健太君が最後に来たのがこの街外れの丘だったと言う訳です。
この丘は夜空も美しいけれど、昼間だってそれに負けない位景観が素晴らしく
ポンタとの散歩でも一番機嫌がいい時に訪れる場所でした。
だからポンタだってここが一番気に入ってる場所に違いないと
健太君は思っていました。
健太君がこの丘に来た時、ちょうど雄大な夕焼けが健太君を迎えてくれました。
真っ赤に染まる街を見下ろしながら、ポンタもきっとこの同じ景色を
眺めているに違いないと健太君は思いました。
でもそこにもポンタの姿はありませんでした。
しばらくすると、街はすっかり暗くなって来ました。
お母さんが心配して迎えに来たけれど、健太君はきっとポンタは
ここに来るからと言ってこの場所を離れようとはしません。
仕方なくお腹が空いたら帰ってくる様に言ってお母さんは帰って行きました。
いつの間にか空もすっかり暗くなって星が天を飾り始めました。
健太君は寂しくなって涙を浮かべます。
ポンタとの様々な思い出が健太君の心の中を駆け巡りました。
健太君が今にも大声で泣き出そうかと言うその時、頬を撫でる
暖かい風に気が付きました。
そこには健太君がずっと探していたポンタの姿があったのです。
健太君はポンタをギュッと抱き締め、ポンタは健太君の顔をなめ続けました。
そして健太君とポンタは満天の星空の下、時が過ぎるのを忘れて遊びました。
そして並んで星空を眺めていると流れ星が一つ流れました。
健太君はその流れ星が何故か夜空が流した涙みたいに見えて
少し悲しい気持ちになりました。
不安になった健太君が横を見るとさっきまでいたはずの
ポンタの姿がありません。
きっとご飯を食べに先に帰ったんだろうと思った健太君は
家に帰る事にしました。
でも、今までポンタが健太君を置いて先に帰ると言う事はなかったのです。
少し不安になりながら家に戻った健太君でしたが、案の上ポンタは
家に帰って来てはいませんでした。
そこでまたポンタを探そうとする健太君でしたが夜も遅かったので両親が許して
くれるはずもなく、その日は大人しく家にいる事にしました。
あの不思議な出来事を思い出しながら。
翌日、ポンタは発見されました。
ポンタは重い病気にかかっていたらしく、見つかった時には
もう冷たくなっていました。
健太君もしばらく信じられませんでしたが、ポンタの姿を見て
納得するしかありませんでした。
今でも、あの夜の出来事はポンタが最後の力で自分に会いに来たんだと
健太君は信じています。
ポンタのお墓は健太君の強い要望であの丘に建てられました。
お気に入りの場所でポンタは今も眠っています。
健太君はいつも夜にポンタのお墓参りに行きます。
あの日の事を思い出しながら。
そんな時には決まって夜空に流れ星が涙の様に流れて行くのでした。
(おしまい)
※あとがき
昔、我が家で犬を飼っていました。
その頃の思い出も少し入っていますねー。
家を出て生活をしていた頃、家で飼っていた犬にそっくりな犬がじゃれ付いてきて
あれ?お前どうしてここに?って事があったのです。
今思うと不思議な体験でした。
もしかしたら今も彼女は我が家を見守ってくれているのかも知れません。
※この小説(ノベル)"星の涙"の著作権はにゃべ♪さんに属します。
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