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黒い渦? (完結作品)

作: Hareruya

日が変わったころ、隆は雄一と別れた。
「じゃっ、また学校で」返事はしたが上の空だった。
一人になった家路を隆は自転車で帰る。飲み屋街の木屋町から自転車で30分。秋の京都は観光名所だが、さすがにこの時間になると人は少ない。緩やかな登り道を隆は自転車をゆっくりこいで上った。

正方形に整備された街中よりも少し北の、旧来の町並みの広がる住宅地が隆の住処だ。ぐねりとまがった道路にある車の通れない小路を入ると住んでいる学生マンションについた。がさつに並べられた駐輪場に自転車を置くと、エレベーターがないので、階段で3階まであがり、無意識の動作で家の鍵を開けた。日当たりはあまりよくない月々4万円あまりの安マンション。夏は過ぎたが、まだもやっとした湿気の漂う部屋の中に入った。無音を嫌ってテレビをつけると、ストーカーのニュースが流れていた。

上の空。隆はここ2ヶ月ほど上の空の状態が続いていて、自分でもそのことに気づいていた。
友達とくだらない話をしていても、授業に出ても集中力に欠ける自分。やる気がおこらない。バーンアウト症候群とはちょっと違う。自らが20年間培ってきたすべてが一掃され、自信がこれっぽっちもなくなってしまった。
事情を知るのは大学1年から仲良くしている雄一くらい。というよりもさっき木屋町のチェーン店の居酒屋で話したのがはじめてだった。誰かに話したら少しはマシになるかと思って隆から誘ったが、あまり成果はなかった。
もっとも原因は明白だった。

隆は、この夏、人生で初めて好きになった女に振られていた。


美香とは大学に入ってから出会った。
ぱっちりした目と黒いきれいな髪が印象的だった。
同じサークルだったが、好きだという想いが芽生えたのは3年生になってから。忘れもしない下鴨神社の流鏑馬を見た日だった。一緒に見にいった5人で隆の家で鍋を囲み、少し疲れて他の奴らが寝入ったあと、「星でも見に行かない?」と美香が言った。
近くの公園へいって空を見上げたがあいにくその日は曇っていて星はなかった。「きょうは見えないか」。空を見上げながらつぶやいた少しか弱い横顔を見たとき、隆は美香に惚れた。
それから、2ヶ月。美香とは2人で食事にいったこともあれば、隆の家でだらだらと過ごしたこともあった。美香は相変わらずキレイで、一緒にいる時間を重ねれば重ねるほど、美しさは増すようだった。「いい友達関係」を維持するか、「恋人」になるか。隆は悩んだが、一歩を踏み出した。
人生で初めての告白は、小さなカフェだった。ピアノの音の流れる京都駅近くの少ししゃれた店で、周りには人がいなかった。いつもと違う雰囲気に美香も察したようだった。
隆は意を決して言った。「俺たちさ、、、」。しかしその言葉はすぐに遮られた。「隆くん、ごめん」。
そこから先を隆はあまり覚えていない。



一人ぼっちの部屋で隆はパソコンをつけた。
暴発しそうな感情を押さえ、平常心を保つための作業をここ数ヶ月で隆は学んでいた。ネットをつなぐと、グーグルで「みんなの詩」と検索して出てきた詩の投稿サイトにログインした。自分しか知らない自分が、ここなら知らないだれかに知ってもらえる。ひそかな美香への想いをぶつける場所があった。

その日、隆は酔った勢いで詩を綴った。タイトルは「悪あがき」。





テレビではめぐりめぐって再びストーカーのニュースが流れていた。
「捜査関係者によりますと、容疑者の部屋のパソコンから、殺された女性への執着心が綴られた文書が見つかり、・・・・・」

※この小説(ノベル)"黒い渦?"の著作権はHareruyaさんに属します。

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