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笑顔 (完結作品)

作: 嘘音 ユイ

いま、何が起こったか解らない。
僕の前には君が倒れていて、スローモーションのように血が舞っている。
飛び散る鮮血の先には僕がいて。
びしょ濡れだ。
思考回路も停止して、泣く隙もなく君の体は冷たくなっていく。

あの日、あの時、どんな笑顔でどんな言葉で話せば良かったのか、未だに僕は解っていない。
笑う事が苦手だった僕に、君は教えてくれた。
「一緒に過ごしていくうちに、きっと苦手なんかじゃなくなるよ」 と。
あの時の君の無邪気な笑顔、僕は忘れていないよ。
優しく笑ったあの顔も、悲しそうなあの顔も、僕は覚えている。
それは君が好きだったから。
誰からも好かれる君に、目を奪われていたんだ。
僕はその気持ちを伝えた。
君は最初、困っていた。
僕は焦った。
すると急に君が泣き出して、僕にこう言ってくれたんだよね。
「ありがとう」って。
君は僕の手を取り、走り出した。
連れて行ってくれた場所は、鮮やかな花の咲く場所だった。
そうして、君は僕の手を離し振り返りこう言った。
「あなたがそう言ってくれるの、待ってたの」
僕は嬉しくなって、涙を溜めながら君を抱きしめた。
包み込むように、優しく。

その日から、何度もケンカしたり、デートに行ったり、手を繋いでみたり…色々な体験ををしてきたね。
あぁ、結婚の約束もしたんだよね。綺麗で沢山の人を呼べる場所にしようって、言ってたっけ?
僕は少し苦手だけど、君のためなら…って言ったよね。

沢山の時を重ねながら、僕はやっと自然に笑えるようになったんだ。
君は喜んで抱きついてくれたよね。
「もう一回、もう一回」って嬉しそうに跳ねながら。
可愛かったよ。
本当に大好きだよ。
永遠に、離れないで一緒に居られる。

そう思っていたのに。

君のお母さん、お父さん、お兄さん…。
本当に良い人だったね。
僕らの結婚を快く受け入れてくれた。

あんな事件さえなければ。

あの日、僕がもっと早く君の家に行っていれば。

君の家に着いた時にはもう、遅かった。
沢山のパトカーが止まっていた。
君は僕の顔を見るなり、泣いて飛びついた。
最初に聞いた言葉、それは。
「みんな…死んじゃったの」
ただ、ただそれだけ。
理解ができなかった。
なんであんな良い人達が。
死んだなんて。

ただ、絶望するだけだった。

その日から君と僕の間に笑顔が薄れていった。
僕は謝ることしかできなかった。
それでも君は、「あなたのせいじゃないんだよ?」と言った。

少しずつ時が経つにつれ、あの頃の君が戻ってきた。
また笑顔が戻ってきたんだ。

けれど、いま。
いま、何が起こった?
僕の目の前に君が倒れているじゃないか。
何で?
何でだよ。
この街のど真ん中で、何があったと言うんだ?
通る人々の悲鳴、助けや救急車を呼んでくれている声。
何もかもが聞こえない。
僕は座り込み、そっと君を抱き寄せ、あの時のように優しく、包み込んだ。
その瞬間、やっと涙が流れた。
意味もなく、淡々と。
救急車のサイレンが聞こえ始めた。
けれど僕は、僕は。

もう間に合わないと知ってしまった。

※この小説(ノベル)"笑顔"の著作権は嘘音 ユイさんに属します。

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