小説(ノベル)
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普通に頼んでは素直に話を聞いてくれないと察した幻龍は今度は絡め手で説得しようと話の流れを変えて来た。自分の活躍を土地神に認められて引き締めていたいつきの心のドアも緩み始める。そんな彼女の様子を見て手応えを掴んだ老人は今がチャンスだともうひと押しする。
「まぁ話だけでも聞いてはくださらんか。無理は言わんでのう」
「は、話を聞くくらいなら……」
ずっと幻龍の申し出を固辞していた彼女もその困り果てた幻龍の声に折れ、話を聞く事にする。了承を得た老人はいつきを前に今度は昔話を話し始めた。
「儂は昔、今とは比べ物にならんくらいの力を持った大きな龍じゃった。じゃから地方の土地神どころではない、国をひとつ任されておったのじゃ」
「はぁ……」
いきなりスケールの大きな話が始まって彼女はまたしても相槌を打つのに精一杯になる。ただ、自慢話をする人間なら話を盛る事も普通にあるけど、目の前の幻龍は曲がりなりにも神様であり、その話にきっと嘘偽りはないのだろうと、精一杯この話を信じ込もうといつきは努力する。
※この小説(ノベル)"魔法少女いつき"の著作権はにゃべ♪さんに属します。
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