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第26話 妖怪からの依頼 その1
ある金曜日の夜、いつきの住む街に男がひとりやって来た。見た目に特に何の特徴もない男はかなり疲れた様子で、ぶつぶつと何かをつぶやいている。
「ハァ……ハァ……折角ここまで来て……寝ちゃダメだ…寝ちゃダメだべ……」
男は苦しそうにしながらひたすら自分に言い聞かすように同じ言葉を繰り返していた。時間は夜の8時30分。夜とは言えまだ早い時間帯だ。男はこの街まである噂を聞きつけてひたすら歩いてやっと辿り着き、かなり疲弊してしまっていた。それが強烈な眠気へと変わってしまったのだろう。
眠るまい、眠るまいと必死に本能に抗っていたものの、やがて理性の糸はぷつりと切れ、その場にバタリと倒れこんでしまった。
道端に倒れピクリともしない男の姿は下手したら行き倒れたんじゃないかと勘違いするほどだった。
しかしそれから数分後、すっかり眠ってしまったかに思われた男の体が、突然小刻みに動き始める。
「ウガァァァァ!血が!血が足りねぇェェェ!俺に血を見せろォォォ!」
そう、一度眠り意識を失った男が別人格を表に出しながら起き上がったのだ。
※この小説(ノベル)"魔法少女いつき"の著作権はにゃべ♪さんに属します。
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