携帯版 歌詞GET

みんなの歌詞GET   ようこそ ゲスト さん   メンバー登録(無料)   ログイン  

投稿した小説(ノベル)にコメントがもらえるコミュニティ

小説(ノベル)

赤い華 (完結作品)

作:美咲 / カテゴリ:ファンタジー / 投稿日:'09年10月11日 17:16
ページ数:9ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:2件

[広告]

8 変化

 その翌晩から、雨の後の赤い華がなくなって、華の方が、人より先に尽きたのかもしれないと思った。
「にぃにぃ」
「何?」
 けど、夜になると雨は降り続けた。
「何して遊ぶ?」
「・・・・・・」
 何かを予感させるような静けさだと思った。
「どぅしたのぅ?」
「空だよ」
「?」
「もう当たり前になってたんだな」
 ん?と少女が小首をかしげ、その顔がリリとかぶり、慌てて、話題を探す。
「そう言えば、名前は?」
「?」
『リリより顔が幼い』
『リリより髪が長いし、リリの前髪は揃ってたし、リリより少しぽっちゃりしてるな、リリの顔は褐色だったし、この子は色白だし』
 髪を撫でながら、にっこり笑った。
「貰ってないのか?」
「・・・名前って?」
 右に傾げ左に傾げ、いつまでたっても答えそうにない。
「何て呼べばいい?」
「おにぃちゃん、にぃにぃ。わたしはチル」
『散るか・・・』
 そう聞くと、まだ赤い華は生きているようだとげっそり思う。
 そういやこのこの髪は真っ赤だ。目も赤い。
「いやなの?」
「いーやー、嫌じゃない」
「そう?」
「そう!」
 それから夜空を毎晩、二人で見上げた。
 雨が降ると、二人で走った。
 楽しかった。
 もう空は、何も起こさない。
「にぃにぃ」
「・・・」
「ねぇ?にぃにぃ」
「あぁ」
 妙に、淋しく感じた。
「・・・っ」
 欲だと気付いた。
 一つを得たら二つが欲しい、二つを得たら三つが欲しい。けど得られない。これ以上には増えないだろう。
 そう思い、哀しかったのだ。
「にぃにぃ、笑おう」
「・・・あぁ」
「楽しい時は、一緒に笑おう?」
「・・・・・・」 
 俺は、この子さえいてくれればいい。
「ごめんな」
「んぅ?」
「一緒にいてくれてサンキュな」
「うん!」
 幸せだ、と思った。
『チルに出会えてよかった。今まで生きてきてよかった』
 俺が笑い、チルが笑った。
「!」
 ザー、と雨が降った。
 森には降らないはずの雨が森の中にいた俺めがけて降った。
 とっさに俺は、チルを守るように抱いた。
 怖かったのかもしれなかった。
「にぃにぃ?」
「ごめんな」
 チルを抱く俺は、それ以上、何も出来ず、言えず・・・・・・ただ両腕から、花びらになって散っていくだけ・・・・・・。
「・・・・・・にぃ?」
 母の顔が、思い浮かぶ。
 最後の笑顔を思い出す。
 あの笑顔は哀しかった。
 最後に俺のように、守る子に謝って死んだ。
「・・・にぃ!」
 最後に飛んだ赤い華をチルが掴み胸にぐっと押しつける。
「あぁあああああああああ・・・・・・っ」
 あの時より、もっと哀しい声が掠れて消えた。

※この小説(ノベル)"赤い華"の著作権は美咲さんに属します。

この小説(ノベル)の評価
評価項目評価数
合計 0
[広告]

この小説(ノベル)のURLとリンクタグ

この小説(ノベル)のURL:
この小説(ノベル)のリンクタグ:

コメントを書く

登録済みのユーザーは ログイン してください。
登録済みでない方は 新規登録 してください。

新規メンバー登録(無料)
第4回みんなのライトノベルコンテスト「しまのわライトノベルコンテスト」
  • 公式サークル みんなの歌詞
  • 公式サークル みんなの詩(ポエム)
  • 公式サークル みんなの小説(ノベル)
  • 公式サークル みんなのイラスト
  • 公式サークル みんなの写真(フォト)

ランキング

※ここでは2018年5月17日のデイリー表示回数ランキングを表示しています。※同順位者が多すぎる場合はすべてを表示しきれない場合があります。

サポートサイト

J@P