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小説(ノベル)

赤い華 (完結作品)

作:美咲 / カテゴリ:ファンタジー / 投稿日:'09年10月11日 17:16
ページ数:9ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:2件

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6 大きな卵

両手いっぱい果実をもって、生きた人を探し続けた。ほとんどの村は砂漠の中にあったので、生きてるとするなら森の中だろうと思いはした。けどリリのように、生まれ故郷を目指す者もいるだろう。毎日、村を探し、毎日、森へ逃げた。
「!」
 どれほど続けたのか、ある夜森へ行くと果実がひとつもない。
『・・・・・・いるのか』
 そう、漠然と思った。
「誰か居るか!?」
 声は返らないが、嬉しく思った。
 ニマッ、と思わず笑った。
 目を開け、夢だと気付き、ハァ、と大きなため息をついた。
 一応、果実の確認に大樹を目指し歩き着くと・・・。
「・・・え」
 大樹の根元に、大きな卵があった。
『食えるのか?』
 つついてみた。
≪くすぐったい≫
「?」
≪くすぐったいって言ったのよ?≫
「は!?」
 パシパシッ、とその卵がヒビ割れた。
「はぁっ!?あ、もったいねっ」
 あわてて、ヒビ割れをおさえる。
≪食べられる卵じゃないわよ≫
「・・・そう」
≪ええ≫
「・・・・・・」
 期待させるだけさせといて!
 怒りたいような嬉しい、変な気分でいると・・・。
≪人は、貴方で最後よ≫
「・・・・・・」
 それより互いに、何も喋ろうとはせず、もう人類滅亡してんのかと、ただ無性に悲しかった。
 どれくらいの時間、ぼーっとしてただろう。卵がパシパシッ、また音をたてた。
「生まれるんだな」
≪ええ≫
「人間じゃないよな?」
≪いえ≫
 え!?と、寄りかかっていた木から飛び起き、
「今、何て言った!?」
 問い詰めるように、卵をしっかりと掴んだ。
≪くすぐったい≫
「わっ!」
 慌ててとびのく。でも、卵に対する興味が沸いた。
「人間になるんだな?」
≪ええ≫
「大樹がか?」
≪いいえ≫
 それには、え?と首を傾げる。
「大樹じゃねぇのか!」
≪そう≫
「じゃ、赤い華か」
≪リリよ≫
 ドクンッ、と心臓が大きな鼓動を鳴らし、
「あいつは死んだんだ!」
≪冷たい人ね≫
「喋り方だって!」
≪あなたは自分が、どれ程長い間生きてきたかわからなくなってしまったの?≫
 その言葉に、がくんと膝を折った。
『俺はずっと探していた』
『何年も、何年も・・・』
 自分が年をとっていたことなど、忘れていた気付いてなかった。
≪待ってたわ。あの時のように、連れていってほしい≫
「・・・リリ」
 完全に割れた卵の中には、大きな花びらがあった。
「会いたかった。リリ」
≪・・・私もよ、カザ≫
 一日中、リリを抱き締めた。それまで何をしてきたか、何があったかを教えた。リリは笑い、リリは悲しみ、一日経つと、リリは死んだ。
 今度こそ、甦ることはなかった。
 リリが死んで尚、大樹は生きていた。
 俺も生きていた。

※この小説(ノベル)"赤い華"の著作権は美咲さんに属します。

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