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小説(ノベル)

赤い華 (完結作品)

作:美咲 / カテゴリ:ファンタジー / 投稿日:'09年10月11日 17:16
ページ数:9ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:2件

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4 リリとの約束

 俺が二十になってから、再び雨は降り始めた。
 どの街でも村でも、なすすべなく死んでいく大人たち。外だけじゃなく、家の中にも、雨も小さな赤い華も突き抜け、人を奪っていく。
 散々、逃げ回って、ようやく、森の中が安全だと気付いた。時々、二人でそれを伝えに、村を転々と、歩き回る。
「一度だけいい?」
「何が?」
「・・・・・・」
「何か欲しいもんでもあるのか?」
 同じことの繰り返しで飽きたのだろう。そう思った。
「違うの。そーなんだけどさ」
「?」
「あー、もう!家に帰りたいの!」
「・・・あぁ」
 そう言われ、ようやくわかった。
「自分の家にか」
「そう!ここから近いし」
 本当に嬉しそうに、リリは笑った。
「まだ行くなんて言ってねぇけど」
「えー」
 言えばついてくるとでも思ったのだろう。途端、がっくりして口を尖らせ、
「嘘だよ。行くよ」
「本当に!?」
「あぁ」
「約束!」
 小指を出してくるので、仕方なく同じように小指を絡め、
「あぁ、約束」
 眠る時も、小指を絡めたまま、森に二人、寄り添うようにして眠った。

 目が覚めたときまず気付いたのは、小指の感覚がないことだ。
「・・・・・・」
 次に気付いたのは・・・・・・。
「リリ?」
 絡んだ小指から右腕の全てが、華になったリリの姿。
「リリ、起きろ!!」
「・・・ん」
「寝てる場合じゃない!」
「え?」
 パチッと目を開け、リリが辺りを見回す。
「誰か居た?」
「そうじゃない!」
「じゃ、何?」
「右腕」
 震える手で、リリの右腕を指した。
「え?」
「・・・・・・」
「・・・・・・え?」
「何でっ!」
 リリを、ギュッと抱き締めた。
 どうして雨も降らず華も降らず、まだ十八のリリに死が訪れようとしているのだろう?大人になると死ぬのではなく、別の理由でも死ぬことがあるのだろうか?それとも全てが、その別の理由で?
 でも今は、考えている暇などない。
 リリを抱き上げ、リリの行きたかったところまで、生まれ故郷まで、ただ必死に走った。
「あれ・・・左腕も・・・・・・」
「リリ!」
「ごめ・・・・・・カザにぃ」
「何がだっ!」
 ポロポロ、リリが泣く。
「わがまま言って・・・ごめ・・・・・・」
 サー・・・・・・。
 村に着くと、リリは頭の天辺から足の爪先まで赤く散っていった。
『リリ!!』
 俺の腕の中で散ったリリの最後の顔は、小さな笑顔だった。

 着いたのは夜。
 そこには、もう誰も住んでなかった。
『俺だけかよ』
『俺は来たくなかった』
『リリだろ?』
『何で生きてないんだ!』
 あちらこちらに、赤い華が飛び散り、見ると余計、悲しく感じた。
「誰か居るか!?」
 叫ぶが声はしない。
「誰か居ろよ!」
 ただ静かに、俺を目指し夜空から降り出す雨。
 俺は、また慌てて森へ逃げ出した。

※この小説(ノベル)"赤い華"の著作権は美咲さんに属します。

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