携帯版 歌詞GET

みんなの歌詞GET   ようこそ ゲスト さん   メンバー登録(無料)   ログイン  

投稿した小説(ノベル)にコメントがもらえるコミュニティ

小説(ノベル)

赤い華 (完結作品)

作:美咲 / カテゴリ:ファンタジー / 投稿日:'09年10月11日 17:16
ページ数:9ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:2件

[広告]

3 二人きり

 繋がれたままの手。
 先を行くカザ、後を歩くリリ。
 行き先を告げられることなく、無言で歩く砂漠の中。
「・・・・・・」
「?」
 不満げな気配に、カザが立ち止り振り返る。
「何で、出て行くの?」
「さっきも言っただろ?村に居ても」
「生きていけるよ!まだ大人まで、十分時間もあるし」
「・・・・・・」
 確かに、まだ俺らは安全。
 今まで通り村で生きられるけど・・・・・・。
「ねぇ、カザ」
「・・・」
 考えていた最中、そう言われ、
「荷物とかどうしよ?私の」
「荷物?」
 ただ、リリの言葉を反芻する。
「食べ物とか飲み物とか、他にも」
「・・・あぁ、まだいい」
「?」
「お前が一人で行くんだったら別だけどな」
 ようやく意識が現実に引き戻され、
「何で!?」
 カザの細長い目が、遠くなった村の方を見て、リリを見る。
「俺が行けば、引き止められる」
「・・・・・・」
「お前、一人で」
「じゃ、行かないよ!」
 頬を膨らし、叫ぶリリ。
「・・・リリ」
「その間に、逃げる気でしょう!」
「そんなことは・・・」
「もう、このまま行く!」
 実際、リリが家に戻ってたらそうしたかもしれない。
「まぁ、街や村をまわればいいことだし」
「二人で戻るの、やっぱり駄目?」
 カザは溜息を付き、
「俺が帰りたくないだけだから・・・」
「・・・・・・」
 無言のリリを見て、また歩き始めるカザ。
「カザ!今、何歳?」
「七歳」
 慌てて、呼び止めるリリ。
 立ち止り振り返らず、問いに答えるカザ。
「リリは?」
「五歳」
 病気や怪我をしなければ、俺にはあと十三年ある。だからと言って、あの村で十三年、頼り続けながら、生きるのは嫌だ!絶対。
「とりあえずは、いろんなところに行って、話を聞いて、それから・・・・・・」
 言葉に詰まる。それから後が浮かばない。
「ね、いつ眠ればいい?」
「あぁ。一応、夜じゃなければいつでも」
「いつでも?」
「眠る時間は、朝から昼か昼から夜。テントを張って、寝袋で寝る」
 本当は、家にいたかったリリ。
「本当に戻らなくていいのか?」
 俺が変えると言えばどんなに喜ぶだろう?
「いい!カザと一緒に居る」
 リリに即答され、頬を薄っすらと赤く染めるカザ。
「・・・・・・俺は」
「?」
「なんでもない」
「えー」
 速足で歩くカザに、負けまいと駆けるリリ。
 その為、リリの黒髪が乱れる。揃えられた前髪と方まで伸びた後ろ髪とがサラサラ右へ左へと揺れ動く。
「待って!」
「!」
 ハッ、と我に返って立ち止る。
「カザ、早いよ」
「・・・」
 リリを見ると、汗だくになってゼェゼェ息を吐いている。
「そう言えば・・・」
「・・・俺のスピードについてこれないのなら帰れ。お前は、やっぱり・・・」
 やっぱり、なんなのだろうと思う。
「どうして!?」
 どうして連れてきたんだろう?
「俺が死ねば、お前はどうするんだよ」
「・・・」
「それまで俺に頼って、それから一人でどうするんだよ!」
「・・・・・・」
 それきり黙るリリ。リリの様子を伺うカザ。
「・・・」
「ねぇ!」
 不意に、リリの声のトーンが上がる。
「なんだよ」
「もう、お昼だし寝よう?」
「・・・」
「カザと喧嘩したくないよ」
 そう言われ、グッと言葉につまる。
「リリは・・・」
「お願いだから、傍に居て!いっぱい知って大人になって、二十も超えて、それでも一緒に居よう。絶対!!」
「・・・出来れば、だな」
「出来るよ。もう一人じゃないもん!」
 急に母を思い出し、胸が熱くなった。
「その根拠は何だよ」
「勘かな」
「駄目だな」
「えー」
 不意におかしくなって、カザは笑った。
「お前と一緒か」
「そう」
「それもいいかもな」
「本当!?」
 大きな荷を背から降ろし、中から大きなテントを取り出す。
「広げるから手伝え」
「あ!」
 カザに言われ、慌てて手伝うリリ。テントが完成した後、森の方を見てリリを見るカザ。
「枯れ木集めてくる。此処に居ろよ」
「え!?」
 急な大声に、ビクッと体がすくむ。
「なんだよ!」
「逃げる気?また」
「荷物は置いてくよ。それならいいだろ」
「・・・それならいい」
 テントの外にあった荷を、リリに渡すとリリは微笑んだ。
「じゃ、行ってくる」
 ひらひらと手を振り、閉まったままのテントのチャックを開け、リリがテントに入ったのを確認して、カザは森に向かい歩きだした。

テントは村と森の間に張っていた。テントの中で横になって目を閉じ、眠ろうとするが眠れず起き上がるリリ。脳裏に浮かぶのは、手をつないで一緒にいたときのカザの横顔。緑色の髪、青い目、砂漠の民でありながら色白の肌、華奢な体、スラリと背が高いカザ。
 別れたのは昼、今は朝。
 やっぱり逃げられた?そう思い始めていた。
「リリ?」
「!」
 テントを覗き込むカザ。
 カザが手に持っている枯れ木が少ないのを見て、ハァと溜息を付くリリ。
「もう朝だよ!」
「あぁ、森まで遠かったし、枯れ木、なかなか見つからなかったから・・・・・・。やっぱり帰りたいんだろ?お前には、まだ十五年ある。皆と居ても・・・・・・」
「やだ!」
「何で?」
 本当に何でだろう?昨日まで名を知る程度で、一言さえ話したこともなくて・・・・・・。
「カザが好きだからだよ!」
「・・・・・・」
 無言で固まるカザ。
「ちゃんと言ってくれるところがいいし、容姿が好き!」
「・・・・・・」
「駄目?私、カザの子供が欲しい」
「!?」
 カザの頭の中は真っ白になっていた。
「嫌?」
 リリの赤い目に、今にもこぼれそうな涙がたまる。
「嫌とかより、子供を生むってことは大人になることと同じじゃねぇの?」
「・・・」
「探せば、いくらでもいるんじゃねぇ?」
「カザがいいの!」
 今にも泣きだしそうだ、と焦るカザ。
「リリは可愛いけどさ。今、重要なのって・・・」
「可愛い!?」
 たまっていたリリの涙が、嬉し涙になって飛び散る。
「まず、生きる為に何が要るか、何処が良いか、二十以上で生き残った大人がいるかどうかとかさ・・・」
「・・・・・・」
 それがあって、先があると思うカザ。 
 好きだから、傍に居たいリリ。
「リリには、俺よりいい人が」
「やだ!そんなの、やだ!」
「俺は・・・」
「あと十三年あるもの!」
 もう時間がないんじゃない。まだ時間は残っている。俺に出来ることは、何だろうt思った。
「俺も入る。ちょっと移動して、テント狭いし」
「!」
 カザはテントに入るときに、外に置き去りの大きな荷を中に入れ、その中から缶をひとつ取り出し、手持ちの缶切りで蓋を開け、リリに渡す。
「食べていい?」
「あぁ。昼、食べてないだろ?」
「食べていいかわからなかったから・・・」
「言い忘れてたよ。悪い」
 リリは首を振り、
「じゃ、いただきます」
「あぁ」
 缶の中のカンパンを食べ始めるリリ。
 その様子を、ジッと見つめるカザ。
「何?」
「・・・美味いか?」
「もちろん!」
「・・・・・・」
 それきり無言のカザ。はい!とカザの方にカンパンを差し出すリリ。
「カザ?食べないの?」
「あぁ、いや・・・」
 でもカザは、いらないと首を横にふる。
「何?」
「明日から二十まで、どうしようかとか」
 実際は、何も考えてなかった。頭の中は、空白で埋めつくされていた。
「明日は、森に居よう?明後日は砂漠、明々後日は村」
「村から森まで、何処も結構かかるからな」
「だね」
「・・・・・・」
 まだ俺には、この状況からどうするべきかわからない。
 でも今俺は、一人じゃないから・・・・・・。
「もし砂漠が平気なら、いいよね」
「だな」

※この小説(ノベル)"赤い華"の著作権は美咲さんに属します。

この小説(ノベル)の評価
評価項目評価数
合計 0
[広告]

この小説(ノベル)のURLとリンクタグ

この小説(ノベル)のURL:
この小説(ノベル)のリンクタグ:

コメントを書く

登録済みのユーザーは ログイン してください。
登録済みでない方は 新規登録 してください。

新規メンバー登録(無料)
第4回みんなのライトノベルコンテスト「しまのわライトノベルコンテスト」
  • 公式サークル みんなの歌詞
  • 公式サークル みんなの詩(ポエム)
  • 公式サークル みんなの小説(ノベル)
  • 公式サークル みんなのイラスト
  • 公式サークル みんなの写真(フォト)

ランキング

※ここでは2018年5月17日のデイリー表示回数ランキングを表示しています。※同順位者が多すぎる場合はすべてを表示しきれない場合があります。

サポートサイト

J@P