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小説(ノベル)

赤い華 (完結作品)

作:美咲 / カテゴリ:ファンタジー / 投稿日:'09年10月11日 17:16
ページ数:9ページ / 表示回数:12回 / 総合評価:0 / コメント:2件

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2 小さな華

 あれほど小さいのにあれほど怖い赤い華。
 雨に濡れた後に赤い華に触れた二十以上の大人は、同じ華になって花びらになって散る。
 幼い頃、俺を守るように抱き締め死んだ母。
 夜が終わり、朝が始まり、俺は死なず、同じような年頃の者も皆同じように生き残った。
「どぅ・・・」
「なんでぇ!?」
「お母さん!お父さん!!」
「やだっ、やだぁあっ!」
 放心状態の子、戸惑う子、叫ぶ子、華を掻き集める子。
「そ・・・・・・なっ」
 どんなに掻き集めようと、一人の人になることはなかった。
「リリ、もう駄目だよ」
 砂漠の大地に座り込んで、華を掻き集める女の子に向け、そう声をかける。
「・・・・・・っ」
 リリは俺を撥ねのけて立ち上がり、ふらりと家の方に歩いて行った。

 荷物をまとめ、フード付きのベージュ色のマントを着て、誰にも言わず、そっ、と村を出ようとしたが・・・・・・。
「待って!」
 華を抱えたリリが、村の入り口に立っていた。
「なんだよ」
「居てよ、一緒に!」
「・・・・・・」
「大人がいなくても生きられるから、いっぱいいるから生きられるから!!」
 必死に叫ぶリリ。
 でも子供の中で一番大人の俺に、この重みが、どれ程のものかわかるのだろうか?
「俺は行く」
「やだっ」
「行く」
「嫌なの!」
 パンッ、とリリの左の頬を思い切り引っ叩いた。
「俺に、すがるな!」
「・・・・・・」
「村に居て、死ぬ時まで待つ気か!?何処かで、ちゃんと生きられる!」
「本当に?」
 即答は出来なかった。でも、ある予感はあった。
「あぁ、ある」
 リリは道を開けた。
「私も行くからね!」
「・・・好きにしろ」
 母は生きようとしていた。
 母は俺を守るために生きようとしていた。
 もしかしたら違うのかもしれない。
 ただ生きたかったのかもしれない。
「・・・どうしよ」
「わかんないよ!」
「どうにかしようよ」
「はっ!?お前っ、何っ」
 振り返り、絶句した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 リリが胸に抱いている、もう花びらになってしまった華。
 そうしてはいるが、わかっているのだろう。
 もう人にはならない。
 もう生きてはいない。
 でも、大きな風が吹いて散らばってしまうと、ポロリと泣き、その場所に立ちすくむ。
「俺は出てく。お前は、お前だ!」
 子供だけでどうやって生きていけばいいかも、何もかもわからなかった。
「カザにぃ!」
 すがりついてくるリリを振り払い、それでも必死に駆けてくるリリを振り返り、仕方なく、手を伸ばす。
 リリはカザの手を握り、ニッと笑った。

※この小説(ノベル)"赤い華"の著作権は美咲さんに属します。

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