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小説(ノベル)

生きよ、それでも (完結作品)

作:宮守 遥綺 / カテゴリ:未分類 / 投稿日:'13年9月30日 01:08
ページ数:1ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:0件

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人を、殺してしまった。


心拍数が停止するその音を聞いた時、俺は闇に投げ出された心の中でただひとつ、その言葉だけが頭に浮かんだ。
そして、漠然と思った。
『俺はもう、戻れない』と。


命とはなんなのか。


そんなことを、この仕事をしていたら嫌でも考える。
毎日毎日、生と死と両方に向き合うのだ。
死を目の前にして、考えない人間などいないだろう。

霊安室の冷たい空気。
目の前の肉塊の頬を撫でながら、ぼぅ、と俺は考えていた。
何故、この子は動かない。
何故、死んだ。
何故。

手を握ってみた。

冷たい。

もう一度頬を撫でる。

冷たい。

俺の小指に確かに絡んでいた小指も。

冷たい。


氷のように。
何もかもが、冷たい。


約束したじゃないか。
生きて必ず帰ると。
生きて必ず帰すと。
約束したじゃないか。



「……先生…」

目を腫らした母親が、いつの間にか立っていた。
小さな花柄のハンカチ。
目を擦る。
腫れた目。
兎のようだ。
そういえば。
二日前のあの子も、こんな目をしていた。
不安だ、怖い、と言って。
親子はやっぱり、似ている。


「……この度は、私の…」
「そんな!先生の処置は完璧だった、と他の先生からも伺っております。
信じたくはありませんが…仕方のない事だったんです」


ありがとうございます。
下げられた母親の頭に、俺は何を言えばいいかわからなかった。




「いつまで、そうしてんの」
「………」
「はぁ……あのねぇ、あの子はどちらにせよ助からなかった。
誰が執刀しようがね。
たまたまアンタだっただけ。
そんなに落ち込んでてどうするの」
「………」
「……いい加減、顔上げなさいよ」
「………」


俺達は、人を殺した分、成長すると言われてる。
それが事実だとも、俺は知っている。


「……私達は、人を殺した分だけ成長するんだから」


だけど、それなら。



俺はあと何人、この手で殺さなければいけないのだろうか。





fin



※この小説(ノベル)"生きよ、それでも"の著作権は宮守 遥綺さんに属します。

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