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小説(ノベル)

Decide future. (完結作品)

作:S.ディオネ / カテゴリ:ファンタジー / 投稿日:'09年9月12日 00:28
ページ数:3ページ / 表示回数:3回 / 総合評価:0 / コメント:0件

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Hesitation

雑音が聞こえる。
鳴き止むことを知らないかのように蝉が音を続けている。いくらかエアコンの排気音も混じっているだろう。そして、常識や他人の気持ちを考えられない自分勝手な生徒がひそひそと小さな声で会話をし、雑音を大きくしている。多少耳障りだが物語の世界に入り込んでいる僕はそこまで気にしない。それは、この空間に慣れはじめているということかもしれない。

この図書室に来る人は少ない。数人の読者と本の貸し借りを行う図書委員会の生徒、それと最近は夏の暑さを凌ぐ為にやってくる生徒くらいだろう。この空間は、空いている席のほうが空いていない席の何倍か多い。


そんな図書室に、僕は最近、足を運ぶようになった。

それは僕に悩みがあるからだ。自分の将来のことだ。自分が就きたい職業もなければ目標もない。進路希望調査の紙を先週にもらい、提出期限は明後日。本来の高校三年生だったら、もうすでに人生設計はできているはずだ。それに向け、勉強を必死に取り組んだり、趣味を極めたりしている人をよくみかける。
僕は現代国語しか得意科目がなく、他の教科など定期テストではいつも赤点ギリギリだ。このままだと将来的には危ないことぐらいはわかっている。わかってはいるが、何をしたらいいのかわからない。就きたい仕事も、目標も、そして自分がしたいこともなにもわかっていない。だから僕は現実を逃避して、最近は毎日のように小説を読みに来ているのだ。

僕は小説が好きだ。
きっかけは中学の頃に友人に勧められた小説に深く感動したことだった。それ以来、小説をよく読むようになった。「活字中毒」とはまではいかないが、家ではゲームやテレビ鑑賞より、小説を読んでいるほうが面白い。物語の中で生きてゆきたいと思わす小説だってある。


僕は慣れはじめたこの空間で小説を読んでいた。室内の本を適当に選び、適当な席に着き、本を広げ、活字を読み取ってゆく。そして、ページを捲る。活字が整列した紙切れの端に目を向ける。指をやわらかく当て、擦るようにして、また、再び違う内容の活字の行列に進む。

「あのぉ。すみません・・・・・・。」

新しい紙切れと使用済みの紙切れを挟み込むように、人の影が浮かび上がり、不意に弱々しい声が聞こえた。 ふと影の持ち主の方を見上げると、髪の長い、顔立ちの整った女生徒がなにやらこちらを見つめている。

「あのぉ・・・・・・。隣、いいですか?」

おどおどした仕草をした彼女は再び言葉を発した。


「どうぞ。」

無愛想に返す。物語の中の世界から引きずり出されたことには、少々腹立たしかった。


「・・・・・・。ありがとうございます。」

彼女は椅子に腰掛けた。なんとなく不思議な雰囲気を持っている人に思えた。僕は彼女が少し気になった。僕はそっと気付かれないように小説からはみ出した世界を見る。文字に焦点が会わずぼやけていく。それは世界が完全に現実に戻ってゆくようだった。ひとつ下の学年だろうか。おどおどした仕草には微妙な幼さが残っているように見えた。僕の周りには彼女と、いつも通りの、空席だらけの空間だった。

しかし、何故、彼女は他の空いている席には座らずに、面識も何もない僕に許可を求めてまで、隣に座ろうと思ったのだろか。

「あのぉ・・・・・・。あなたは、物語は好きですか?」

再び、出し抜けに、彼女は話をふりだした。
「まあね。」と、とりあえず答えておく。
少女はよかったと胸をなでおろし、なにやら考え込んだ表情を浮かべながら、話を続けた。

「もしよければ・・・・・・、私の相談に乗っていただけませんか?」

何故僕にそんなことを依頼するのかがわからない。彼女の意図が何なのかも謎だ。

「別にいいけど・・・・・・。何故、僕にそんなことをと頼むんだい?友達とかに話せばいいじゃないか。」

僕には少しみっともない台詞だったかもしれない。思ったことをそのまま口にした。

「・・・・・・。私には友達がいないんです。いつも一人なんです。友達はやっぱり欲しいんですけどね。深入りしすぎると、やっぱり別れるときが悲しいじゃないですか。」

「・・・・・・・・・・・・。」

失礼なことを言ってしまったなと思った。それに、そんな彼女の考えに、何も言い返すことができなかった。

「それに、あなたは・・・・・・。」

彼女は何かを続けようとしたが、いいえなんでもないんです、とごまかし、はっきりしない笑みを浮かべた。

「ここじゃ、他の人に迷惑がかかるので、移動しませんか?」

彼女の言うとおり、さっきから視線を感じてならない。あたりを見回すと室内の人全員が僕に釘をさすかのように見ている。僕は図書室で遠慮なしに彼女と話をしていることに気づいた。さすがにこの状況でここにはいることができなかったので、僕はわかったと、しぶしぶ頷く。自分も人のことは言えないな、と思った。

※この小説(ノベル)"Decide future."の著作権はS.ディオネさんに属します。

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